勝手に更新される毎日

六本木で働くサラリーマンのブログです。やめてくれ、待ってくれと言っているのに、1日1日が勝手に過ぎていきます。

楽しかった買い物の思い出

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前回は「買い物という行為が生む苦痛」について書いたが、これまでの自分の人生を思い返してみて、苦痛ではなかった、むしろとても楽しかった買い物がふたつあったことを思い出した。
 
 
ひとつは、ひとつはエレキベースである。
 
これらの買い物が楽しかった理由を語るには、購入時に俺が置かれていた状況を説明する必要がある。
 
 
車を買ったのは、俺が働きはじめて4年ほどが経ったころだった。
その4年程度の間、俺は四六時中仕事を辞めたいと思っていた。
とはいえ次の仕事のあてがあるわけでもなく、本腰を入れて転職活動に取り組むほどの気力もないため、「ああ行きたくねぇ」と呟きながらかろうじて会社に足を運ぶ毎日を繰り返していた。
 
蓄えはそこそこあった。
しかしこの蓄えそのものが、「やりたくもない仕事を惰性で続けて4年も続けてしまった」という取り返しのつかない事実の裏返しでしかなく、残高に比例して積み重なるのは、後悔や自責の念だけであった。
 
その時上司になった会社の先輩に、「車を買え」と言われた。
それまでは一度も車がほしいと思ったことはなく、車を買うことで自分の生活がどうなるかあまり想像できなかったが、残高をゼロにしたかったのと、ただカレンダーをめくるだけの毎日に変化をつけたいという思いがあった。
 
本屋へ向かいカーセンサーを読み30分でディーラーを決め、実車を見て30分でサインをした。
安物のコートを買うだけで2時間も3時間も悩んでしまうのに、である。
 
 
エレキベースを買ったのは、去年のことである。
楽経験豊富な2人と、音楽経験ゼロの俺の3人でなぜかバンドを組むことになり、その足で楽器屋に向かうことになった。
店には豊富な種類のベースがあったが、果たしてどれがいいのか俺には分別があるはずもなく、ただ選んでもらったものを買うだけだったが、楽しい買い物という観点では、これは功を奏したのだろう。
俺はベースの音の鳴らし方もまだわからないというのに、3人は「バンド名は何にしようか」「武道館ライブはいつごろにしようか」「ファンの女の子が来たときに取り合いでケンカをしないようにするためのルール決め」など、バカな話し合いをしていた。
もちろんベースの音を出せるようになれば直ちに女の子からモテまくるなんて考えはなかったが、楽器を覚えることには明るい未来しかなかった。
 
 
こうして振り返ると、
  • 生活に良好な変化をもたらす可能性を感じさせるもの
  • それまで全く買おうと思ったこともないもの
  • 悩む余裕や余地がないもの
が、俺が苦痛に感じない購買活動ができる条件なのだと思うが、前の記事で書いた、買い物を楽しむ人の気持ちを想像した箇所とそんなにずれていない。
  • 私は無尽蔵に預貯金があって莫大かつ永続的な収入があるから、たかが市井の買い物などにかかる金を失うことなど、苦痛でないどころか、ショップにお金を恵んであげる行為で社員店員がみんな喜ぶわけだから、それを見る私も快楽
  • もしくは、会社から給料をもらって働くのがこの上ない楽しみであり、買い物で金を使えばまた会社で勤務して稼ぐ必要があるがそのことを考えると今からもう幸せ
  • 商品Aと商品Bのどちらがよいかなんて、見た瞬間即決できるから、悩んで苦痛を感じることなど皆無
  • 話しかけてくるアパレル店員など無視
  • もしくはアパレル店員が話しかけてきて、私もそれに返しているうちに、フレンドリーどころかフレンドそのものになってみんなハッピー

 

ただ、今は金がなくそういう無鉄砲な買い物は過去の話である。

いま楽しいのは、CDや本を買うくらいだ。