勝手に更新される毎日

六本木で働くサラリーマンのブログです。やめてくれ、待ってくれと言っているのに、1日1日が勝手に過ぎていきます。

信用スコアと愚行権とその先にある革命

f:id:suzuki1001:20190406185055p:plain

話題としてはちょっと古いが、ネット上で個人の信用スコアをつけて、それをいろんな評価に活用する動きが出ている。

日本では、みずほ銀行ソフトバンクが組んで「J.Score」を立ち上げたり、LINEも参入を発表、今後はヤフーも事業を開始するらしい。

 

カンタンに言うとソフトバンクやLINEは、自社サービスのユーザーデータを分析して、銀行が各ユーザーに融資する際の金利を個別に算出する、というサービスだ。

一見すると「個人情報保護的にやばくね?」という感じもあるが、多くのポイントカードがやっているような「頻繁に使う人ほどポイント還元を有利にする」のが、少し複雑になったところで大差ないのでは、とも思う。

 

だが、学校の先生ならまだしもたかだかいち企業に

「あ、35点のお客様ですね、金利は通常の2倍となります」

と言われるのも癪だし、

「こんなのいやだなーでも世の中の流れは止められないのかなー」

と気になってちょいちょい調べてみたら、ちょっと前に話題になった中国の「芝麻信用」が、その悪夢のような状況をまさに体現しているところまでいききっているらしい。

tamakino.hatenablog.com

 

「分割払いを使ったらスコアが上がる」とか、あまりのストレートさに清々しさすら感じるが、よく考えてみると、多くのポイントカードが「頻繁に使う人ほどポイント還元を有利にする」というえこひいきをしているし、それが少し複雑になったところで大差ないのでは、とも思う。

 

ただひとつ確信を持って言えるのは、この「AIとかコンピューターを使って人間をより精密に評価・スコア化し、それによっていろんなことをスムーズにかつより儲かるようにしたい」という流れは確実に存在し、

「いろいろデータ取って分析してみたけど、儲かるようになってないし意味ないね。これまで通りの決め方にしよう」

となるまでは止まらない、ということだ。

 

だから、遅かれ早かれ、LINEは銀行と組むからには

「こいつ友だちとこんなくだらない会話してるのか。しょうもないやつに違いない」

「こいつLINE既読無視されまくってるくらいだから、人望がない、金を貸すに値しない奴に違いない」

ということをやるだろうし、

みずほ銀行と組んだソフトバンク

「こいつ、携帯の位置情報見たらソープランドばっかり行ってるから金貸す価値なし」

なんてことをやるようになるのである。

 

さらに進化(悪化?)すれば、「ドラゴンボール」の「スカウター」のように、人にスマホをかざせば(もうそのころにはデバイススマホですらないのかもしれないが)、その相手が

・どれくらいの金と社会的地位を持っているか

・どれくらいケンカが強いか

・どれくらい麻雀が強いか

なんてことが一目に、数値でわかるようになる。

いまはLINEでのやりとりの文面やサービスの利用状況くらいかもしれないが、よりITが進化し、かつ監視社会化が進めば、我々の日常行動はすべて監視、解析、データ送信され、大酒飲みでゲロを喉に詰まらせて死ぬリスクが高い人なんて、とんでもない高い金利を設定されるようになる。

そんな未来が近いのではないかと思う。

 

人々はスコアを上げるために、企業に気に入られるように「いい子ちゃん」にふるまうようになるだろう。

そうでもしないと、金銭的機会的損失が生まれるから。

そしてその反動で、スコアを下げるような行為、つまり「愚行権」をバンバン行使しまくる人の希少性、相対的価値が上がり、ニッチな領域で崇拝を集めるようになるのだろう、と思う。

より狭い世界で純度を高めたカリスマは、やがて、広く社会的に受け入れられている、しかし自分たちだけを受け入れないスコアを根底からひっくり返すために、革命を起こすだろう。