クックパッドの利用者が減少し始めているらしい。
思い返してみると、半年ほど前だったか、若者の「Google離れ」も話題になった。
我々の世代にとっては、「わからないことがあったらとりあえずGoogle先生に聞けば全部答えてくれる」というのが常識として受け入れられてきたことであるし、今でもGoogleの力は衰えていないと思っていたが、どうやらそうとも言えないらしい。
ネット界の技術革新のスピードについては俺は素人だからよくわからないが、おそらく目を見張るほどの日進月歩だし、もうすぐAIが人間の知能を超えるなんて言われているほどだから、Googleの検索性能は10年前とくらべて恐ろしく向上しているはずである。
しかし、それにも関わらず若者にはびこる「Google離れ」。
彼らはGoogleの検索性能に満足していないのか。
その理由は何なのだろうか、と思ってGoogleで検索してみると、いくつかの記事を見つけた。
そこで書かれていたことを俺なりにざっくり述べると
「検索結果の上位に来るのは”公式”だったり企業のサイトばかり。そんなサイトは自分たちの商品・サービスを良く見せるために作られた情報でしかない。もっと生々しい情報がほしい」
「ゴミのような記事があまりにも大量になってしまい、ほしい情報にアクセスすることが難しくなった」
というのは、企業や、どこの馬の骨かわからんようなブロガーが推奨する商品よりも、友達が「これいいよ」「めちゃよかったよ」と勧めてくる商品の方が、よさそうに思えてくるのは自然なことだからだ。
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クックパッドは「レシピ投稿サイト」であり、企業が自社の商品を推奨する品評会ではなく、どちらかといえばクチコミサイトである。
するとひとつ疑問が残るのが
「世の中は検索からクチコミに移ったんとちゃうの? クチコミの方が信用できるっていま言ったばかりなのにその舌の根の乾かぬ内から、どんな恥知らずなのかこの筆者は」
という点だが、クックパッドの利用者が減少し始めていることを見ると、どうやらクチコミの時代も終焉を迎え始めている、ということなのだろう。
では、その先には何が待っているのだろうか?
どの時代もどの分野も、的確に将来を捉えた者が成功する。
俺はずばり、「神のお言葉」の時代だと思う。
すでに友達のクチコミも飽和してしまっており、人々はそれらを上回る信用力を持つ情報を求めている。
友達のクチコミを上回る信用力を持つ者とは、それは尊敬の対象であり、究極的には崇拝の対象を指す。
つまり人々は「今日どこへ行こうか」「おいしいラーメン屋はどこだろう?」という問いに対し、友達からの推奨よりも、神の啓示を求めるようになるだろう、というのが俺の予想である。
とはいえ、「予想」と呼ぶには恥ずかしいほどには、この兆候はすでに表れている。
ネット上の一部にはすでに、「崇拝」に近いほど熱狂的なコミュニティは無数に存在しているし、「ネ申」という言葉はその最たる例だ。
これからは、分野、国家を超えた「神」となった者が、人々の行動、消費、思想を操ることになるだろう。
その時に流行するインターネットサービスは当然、SNSではなく、インターネット教会であり、インターネット寺院、インターネットお札である。
もしくは、そのころに宗教を象徴する物は、我々が宗教から連想するものとは異なっているのかもしれない。
そして必然的に、マーケティング活動は宗教代理戦争へと変化するし、儲けられるのはお布施を集められる者だけになる。