ちょっと前に話題になったが、「飲みニケーションの支持率が急激に低下した」ことを示す調査結果が発表された。
そして記事のもとになっている調査がこれ。
https://www.nissay.co.jp/news/2021/pdf/20211117.pdf
「職場の方との”飲みニケーション”は必要だと思いますか?」
という問いに対して、「必要」もしくは「どちらかといえば必要」と答えたのが38.2%、これは昨年比でマイナス16.1%だったらしい。
おれは新卒で入社した会社で7年くらい営業をやっていたが、心の底から接待というものを嫌悪していたこともあって、そのときによくやっていた妄想で、
「もしも、自分が選挙に出馬するとしたら、何を公約にするか」
という問いに対して
「あらゆる接待の禁止」
を掲げていたくらいであった。
そのような俺からすれば、この低下傾向は喜ばしいことではあるものの、遅すぎるというか、昨年までは「必要」「どちらかといえば必要」派が過半数を超えていたこと自体が意味不明、理解不能である。
ただここにはひとつ難しい点があって、いかに「職場内の飲みニケーション」であっても、飲んでいて楽しい相手とは俺も飲みたいと思う。
しかし職場である特性上、嫌な相手と飲みにいくことを強制されるケースもあって、そのストレスたるや尋常ではなく、従って一律に接待を禁止するしかない。
いわば「接待禁止法案」は「肉を切らせて骨を断つ」作戦である。
それはさておき、「必要」派の考えがまったくわからないから、「必要だと思う理由」を見てみる。
1位 本音を聞ける・距離を縮められるから 57.6%2位 情報収集を行えるから 38.5%3位 ストレス発散になるから 33.6%4位 悩み(仕事)を相談できるから 29.2%5位 人脈を広げられるから 29.2%6位 悩み(プライベート)を相談できるから 12.8%7位 お酒が好きだから 12.5%8位 色々なお店に行けるから 9.5%
ここで僭越ながら私が反対派の意見を代表すると
本音を聞ける・距離を縮められる
→素面で本音を話せない相手となど飲みたくない
情報収集を行える
→本でも読めば?
ストレス発散になる
→お前が発散したストレスが俺に溜まるんですが
悩み(仕事)を相談できる
→悩みを聞こうと思える相手なら素面でも聞くし、そう思えない相手など酒を飲んでいても聞きたくはない
人脈を広げられる
→「いっしょに酒を飲んだ」など人脈でも何でもないし、「人脈」という言葉で利用されたくない
悩み(プライベート)を相談できる
→悩み(仕事)以上に興味がない
お酒が好き
→勝手に独りで飲め
色々なお店に行ける
→勝手に独りで行け
ということで、個人的にはあまり好きな行為ではないが、完全に論破してしまった。
だいたい「人間は社会的動物であるから普段はある程度本性を隠すために鎧を着ているが、酒はその鎧を剥がして人間の本性を表す効果がある」などとよく言われるが、これが真理だとすれば、糞な人間は酒を飲むことでよりその糞性を辛うじて隠していた、遮断していたものが取っ払われてより糞化するのであって、普段から嫌な相手はより嫌になるだけなのである。
つまり良い性格をした者はよりいい本性を、悪い性格をした者はより悪い本性を顕在化するのが酒というものであり、人はみな良い性格の者と接近して悪い性格の者は避けたいと思うに違いないから、「職場での強制的飲みニケーション」がなくなった世界では、良い性格の者に「今度飲みに行きましょう」の声が集中して、そうでない者には一切声がかからないことになる。
ここに新たな格差が誕生するが、これは格差にしては珍しく、歓迎すべきものであると思う。
ということで、これを読んだ私の知人の方、「今度飲みに行きましょう」。