近頃の医学の進歩は目覚ましい。
今さら言うようなことではないが、先日、改めてそう感じる出来事があった。
ドラッグストア内を歩いていると、ある商品が目に留まった。
「記憶力を維持する」
でかでかとそう書かれたパッケージに、俺は驚いた。
内臓や血液に働きかけるものはまだ納得できるが、脳に作用するサプリまでもう造られているのか。
しかも
「維持したい」
とか
「維持できるかも」
などではなく、
「維持する」
そう断言しているのだ。
脳への作用、しかも断言するほどの自信。
医学の進歩は素晴らしいが、馴染みがない脳への作用は、少し恐ろしくもある。
それでも物忘れが激しすぎることが最近の悩みである俺は、迷わず商品を手に取ってレジへと向かった。
指定された分量の1日4錠を服用し続けること10日ほど経過したが、まだ実感するほどの効果はない。
そして、さらに1週間ほど経ったある日、俺はふと気が付いた。
「あ、最近サプリ飲み忘れてる」
■
俺はこういう話を聞くとついニンマリしてしまう。
ここでいう「こういう話」とは、例えば、ビートたけし氏の「テレビでの発言をネットニュースにするな」っていうテレビでの発言がネットニュースになったことや
コロナウイルスのことを世界で最も考えているはずのWHO本部でコロナウイルスのクラスターが発生してしまったというニュース
インドネシアで実際にあった、不貞行為をむち打ち刑相当とする厳格な法律の整備を進めた組織のメンバーが不倫現場を摘発され、公開むち打ち刑に処された出来事
このような記事や出来事に接する度に、俺は
「こういう不条理って好きだなあ」
「もっとこんな話をたくさん聞きたい」
「こんな出来事に何か名前があればいいのになあ」
と思うのだ。
「何かいい呼び名はないか」そう考えていたら、すでにあった。
「ミイラ取りがミイラになる」が最も意味が近い諺だろう。
しかし「ミイラ取り」とは何だ。
あるあるとしてはRG以上にトリッキーすぎて共感できない。
「記憶力を維持するサプリを飲み忘れる」
これのほうがまだわかる。
こんな例を知っている方がいればぜひ教えてもらいたい。