勝手に更新される毎日

六本木で働くサラリーマンのブログです。やめてくれ、待ってくれと言っているのに、1日1日が勝手に過ぎていきます。

8人の女性から立て続けに「坂口健太郎に似てる」と言われてりゅうちぇるのことを思い出した

少し前に、2時間程度の間に初めて会った8人の女性全員から、「坂口健太郎に似ている」と言われたことがあった。

私と面識のある方なら、「そんなことがあるものか。妄言を吐くのも休み休みにしろ。お前に必要なのはダルクもしくは脳ドック」と私を非難するだろうが、これは紛れもない実際に起きた出来事である。

ただこれにはからくりがあって、その2時間、俺はキャバクラにいた。

つまり8人の女性はいずれもキャバクラ嬢であり、俺に対して入れ代わり立ち代わりで接客を行っていたのだ。

 

流れはこうだ。

  1. 先輩に連れられて2人でキャバクラに入店

  2. 2人それぞれに女性が1人ずつ接客

  3. 俺についた女性Aが、俺に「俳優の坂口健太郎に似てるって言われますよね?」と言ってくる

  4. 俺は「言われたことないよ。いままで複数人から『似てますね』って言われたことのある有名人は、中田英寿笑福亭鶴瓶くらいだよ」と返答する

  5. 女性Aが「えーほんとですか?似てるけどなあ」と言って、先輩についた女性Bに「似てますよね?」と尋ねる

  6. 先輩についた女性Bが「似てる」と答える

  7. 俺についた女性Aがお時間となり交代する

  8. まだ先輩についている女性Bが、新しく俺についた女性Cに「この方が坂口健太郎に似てるって話をしてたんだけど、似てると思わない?」と尋ねる

  9. 新しく俺についた女性Cが「似てる」と回答

  10. 先輩についた女性Bが、お時間となり交代する

  11. 俺についている女性Cが、先輩に新しくついた女性Dに、「この人、坂口健太郎に似てない?」と尋ねる

  12. 先輩に新しくついた女性Dが「似てる」と回答

  13. 俺についた女性Cがお時間となり交代する

  14. 新しく俺についた女性Eが、俺に「誰か芸能人に似てるって言われません?」と尋ねる

  15. 先輩についている女性Dが「坂口健太郎よ」と言う

 

これの繰り返しである。

ウインブルドンも真っ青の、壮絶な「坂口健太郎ラリー」である。

 

ちなみに、坂口健太郎がどんな人なのか知らないし、わざわざ検索するのも面倒だという方は、こちらをクリックしてみてください。

https://tinyurl.com/2o3xx8gj

 

「そんなくだらないことをずっとしゃべっているのか。他に話題はないのか。ムダな時間の使い方の世界チャンピオンだな」などと思わないでいただきたい。

そもそもキャバクラとは、その程度のものではないか。

 

本題に入るにあたり、いきさつの発端となった女性Aが、俺が坂口健太郎に似ていると本心から思っているかどうかは重要ではない。

問題なのは、B~Hまでの7人の女性に、誰ひとりとしてこれを否定する者がいなかった点である。

なぜこんな地獄の伝言ゲームが続いてしまったのだろうか。

6年ほど前にブレイクしたタレントのりゅうちぇるが、久しぶりのテレビ出演で見違えるほど変わったと話題になっていた。

りゅうちぇるといえば、夫婦関係の解消を発表したときのSNSへの投稿が、印象に残っている。

その投稿は当時、「夫の責任の放棄だ」などと炎上したが、俺が興味を持ったのはそこではなく

「本当の自分」と「本当の自分を隠す”りゅうちぇる”」の間に溝が生まれ始め、しだいに本当の自分を隠すことが苦しくなり、生きていくことさえ辛いと思うこともあった。

 

原文ママではなく、俺による要約です。

※全文とか経緯は全部書くとめちゃめちゃ長いので、何があったのか知らない人はこのあたりを見てみてください。togetter.com

 

ここでいう「本当の自分を隠すことが辛い」の箇所だ。

 

サラリーマンをやっていると、「思っていることを言わずに、正反対のことを言う」なんてことは日常茶飯事だ。

実際につい先日も、「頼むから消えてくれないかな」と思っている上司がふらふらっと話しかけてきて、どうでもいいくだらない考えをいろいろ話しかけてくるから、「あーいいっすね」「なるほど。さすがですね」など、心の中(「いいわけないだろ馬鹿」「頼むから要らぬ余計なことなどせず黙っていてくれ、そしていち早く任期を終えてくれ」)とは真反対の言葉の数々を叩き込んできたばかりである。

上記は会社員に求められる基礎的なスキルのひとつである。

いや、程度の差こそあれ、社会生活を営むためにはある程度は必要になるものだと思っている。

ただし俺には、発言の際に目が笑っていなかったり、実際に笑っていなかったりで、心の中が透けて見えることがあるという難点があるらしい。

これが、俺の社内での出世がおぼつかない最大の原因だろう。

 

話題が横道に逸れてしまった。

こんな感じで本当の自分を何十年も隠し続けていると、「隠すことが辛い」などとは感じなくなるほどの耐性を得る。

なかには、最初からそれを持つ天性の素質に恵まれた者もいるが。

この能力を当たり前のものとして認識するほど普段から使い慣れていると、りゅうちぇるの告白に違和感を持たずにはいられないのである。

この能力の体得には、副作用がついてくる。

「坂口健太郎に似てる」を発した女性A、そしてそれを伝言ゲームで引き継いだ女性BCDEFGHが、本当に俺のことを坂口健太郎に似ているなんて思っていないことは、俺もわかっている。

なんせ、彼女たちも仕事でやっているのだ。

俺が会社で上司に対してそうしているように、彼女たちも今、俺に対してそうしているだけだ。

いや、キャバクラ嬢とは、並の会社員よりもはるかに巧みにこの能力を駆使しないとやってられない職業のはず。

引き継がれた「坂口健太郎」否定する、もしくは代案を出すよりも、乗っかった方が接客がより円滑になる、そう判断したにすぎない。

りゅうちぇるのように、「本当の自分を隠す」なんて初期段階で躓いていると、1ミリも心の中にないことを平然と発せられる人たちの攻勢には、到底太刀打ちできないではないか。

 

ACEGの4人の女性は、去り際に

「LINEを交換しましょう(ウソだけど楽しいフリをするのが仕事)」

と持ちかけてきて、俺はそれに応じた。

翌日以降、4人からは一様に

「この間は楽しかったです(本当の自分を隠蔽)。また来てくださいね(売上ちょうだい)」

とメッセージが来て、俺は

「いやキャバクラなんてのは金が捨てるほど余ってる人だけができる遊びでしょう。この間は奢ってもらったけど、自分の金では行けるわけがないよね。というか、全員が本当の自分を隠して発言してることはこっちもわかってるし、そんなやりとりの何が楽しいのか、さっぱり判らん」

という「本当の自分」を隠して、再訪する旨の返信をしている。